ニート医師・井たくま参戦 ショートスリーパー論争に厚労省ガイド
医師の井たくまが8月9日、ショートスリーパー論争を受けて厚労省「健康づくりのための睡眠ガイド」や関連研究を解説。成人6〜8時間の目安、心筋梗塞リスク4.95倍のデータ、寝だめの是非まで整理した。
医師の井たくまが9日、自身のYouTubeチャンネル「ニート医師「井たくま」チャンネル」で「【本音】ショートスリーパー論争、厚労省の睡眠ガイドを読むと結論はこれです」と題した動画を公開した。美容外科医・高須幹弥氏とショートスリーパーの堀大輔氏の対談が「100万再生ぐらいされてて」と反響を呼ぶ中、厚生労働省の指針や関連研究を自ら読み込み、医師の立場から論点を整理した。
「あなたが睡眠を削っていいかどうかとは別ですよ」
まず示したのは公的な指針の中身だ。厚労省の「健康づくりのための睡眠ガイド」では成人はおよそ6〜8時間が適正とされ、少なくとも6時間以上の確保が望ましいとされる点を紹介した。
個人差については「個人差があるっていうことは、ま、何時間でもいいってわけじゃなくて」と釘を刺す。遺伝的なショートスリーパーの存在自体は否定しないとした上で、「あなたが睡眠を削っていいかどうかとは別ですよ」と線を引いた。
心筋梗塞リスク4.95倍のデータ
数字も並べた。約4万人を7年間追跡した研究では、睡眠5時間未満の人は5時間以上の人と比べて肥満リスクが1.13倍、メタボリックシンドロームのリスクが1.08倍。約2000人を14年間追跡した研究では、6時間未満の人は7時間以上8時間未満の人と比べて心筋梗塞のリスクが4.95倍に上がったという。
一方で、睡眠が短い人は仕事の多忙やストレス、隠れた疾患などを抱えやすいとして、因果を単純化しない姿勢も見せた。その上で、睡眠時間を削ったら健康を削っているという見方はあながち間違いではないと思う、との受け止めを示した。
争点の論文と「寝だめ」
対談で争点となった論文にも言及した。ただし特定はできていないとして「調べたら多分ね、これじゃないかな」と前置きし、健康な成人48人を2週間、4時間・6時間・8時間睡眠などに割り付けた2003年の睡眠制限実験を挙げた。主観的な眠気はさほど変わらないのにパフォーマンスの低下が認められた研究だと説明した。
この実験に対しては、元々普通の睡眠時間で生活していた人を集めて急に睡眠時間を削ったのだからパフォーマンスは落ちるという反論があったと紹介。それはなんとなく分かるとしつつ、訓練すれば睡眠時間を短くできるという主張への注意喚起としては妥当だとした。
「寝だめ」は「眠りを貯めることは、ま、できない」と否定した。実態は貯金ではなく「平日に借金しててそれを休日に返済してる」だけで、休日に長く眠るのは平日が足りていないサインだという。カフェインで起きていられることも「それは別に睡眠が足りてることじゃない」と退けた。
子ども・高齢者・妊婦は
年代別では、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間が目安。高齢者は逆に長く床に就きすぎないことが大事で、「8時間以上は横にならないように」との指針を紹介し、昼は起きて活動し夜に寝るリズムの重要性を強調した。妊娠中はいびきや無呼吸、血圧・血糖の変化があれば主治医に相談するよう促した。
時間だけでなく「睡眠休養感」も重視する。最後は「医者として言える範囲とすれば、ま、このぐらいなんじゃないかな」と締めくくった。