「あんた3杯目から20杯目までおもろいな」お笑い芸人チャンス大城、酒に溺れた壮絶な過去を精神科医に告白
お笑い芸人のチャンス大城が日本財団のYouTube番組で重度のアルコール依存の過去を告白。「お酒を取るか人間を取るか」壮絶な体験と、精神科医・松本俊彦氏が解説する「否認の病」とは。
お笑い芸人のチャンス大城が、日本財団が7月17日に公式YouTubeチャンネルで公開した動画「【アルコール依存症の末路】チャンス大城×松本俊彦 Ι NGなしの質問 Ι 2SQ」に出演した。社会課題の当事者2人が「NGなし」の直球質問に答えるドキュメンタリー企画「2SQ-ツーショットクエスチョンズ-」の一編で、かつて重度のアルコール依存を経験したチャンス大城が、依存症治療の最前線に立つ精神科医の松本俊彦氏と語り合った。
チャンス大城は1975年生まれ、兵庫県尼崎市出身のピン芸人。2017年にフジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」の人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で優勝し、自伝的エッセイ「僕の心臓は右にある」でも知られる。対する松本氏は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の薬物依存研究部長。約30年にわたり依存症臨床に携わり、著書「誰がために医師はいる」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞している。
「お酒を取るか人間を取るか」の2択だった
動画でチャンス大城は、断酒を決意した当時の状況を「お酒を取るか人間を取るかぐらいの2択だった」と振り返った。二日酔いで仕事のパフォーマンスは落ち、遅刻も増え、周囲の芸人からは「ああなったら終わり」とまで言われていたという。売れない時期には看板持ちのアルバイト中に同期の売れっ子とすれ違い、悔しさや怒りを酒で沈めていたと明かし、「飲んだら全部忘れられるんすよね」と当時の心境を語った。
スナックのママから「あんた3杯目から20杯目までおもろいな」と言われた逸話も披露。松本氏が「そこをずっとキープできてればいいんですよね」と応じると、それを超えると「不愉快でしかない」と言われたと明かした。路上でホームレスの男性と意気投合して飲み明かし、目覚めると相手だけでなく自分まで丸坊主になっていたという、記憶が飛ぶほどの飲み方を物語るエピソードも飛び出した。
わが子の誕生を知らぬまま
酒は家庭にも影を落とした。同棲相手の妊娠に気づかないまま過ごし、大阪での営業終わりに母親から「男の子生まれたよ」と告げられて初めて息子の誕生を知ったと告白。その後も父親になったことを受け入れられずに酒浸りの生活は変わらず、離婚に至った経緯を語り、「本当にあの時の自分を殴ってやりたい」と悔やんだ。
精神科医が明かす「否認の病」
一方の松本氏は、医師になって数年目に依存症専門病院へ赴任した際、「何もできないことに気づいた」と自信を失い、車のレースゲームにのめり込んだ自身の経験を告白。診療中もゲームの場面が頭から離れなかったという打ち明け話に、チャンス大城が「すっげえ気持ちわかります」と応じる場面もあった。
そのうえで松本氏は依存症を「否認の病」と解説。「本人が困るよりも先に周りが困る」のが特徴で、本人は問題を過小評価しがちだと指摘した。迎え酒についても、酒が入った状態が脳の「ノーマル」になってしまい、抜けると不調に陥る仕組みだと説明。「このアディクションってしんどいのを乗り越えるのにみんな使うんですよね」と、依存の背景にある苦しさに言及した。