宇多丸、『映画ちいかわ』を2回鑑賞 最後の最後で評価が「カクン」
TBSラジオ『アフター6ジャンクション2』のYouTubeで2026年8月6日公開。宇多丸が『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を2回鑑賞し、最後の最後で評価が「カクン」と下がったと語った。
TBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の公式YouTubeチャンネルで2026年8月6日に公開された動画で、ラッパーで映画評論家の宇多丸が『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を評した。
ランダムに決まった課題作を自腹で鑑賞して評論する番組内コーナー「週刊映画時評 ムービーウォッチメン」の一編。対象は7月24日公開の同作で、原作・脚本はナガノ、監督は「ウマ娘 プリティーダービー」シリーズを手がけた及川啓が務めた。物語の鍵を握る精霊王役は声優の鈴木みのりが演じている。
感想メールは「トイ・ストーリー5より多かった」
冒頭ではリスナーからの感想メールを紹介した。量は「ぶっちゃけトイ・ストーリー5より多かった」といい、賛否の比率は褒める意見がおよそ8割だったと明かした。
宇多丸自身はTOHOシネマズ日比谷と六本木で計2回鑑賞。どちらの回もほぼ満席で、原作漫画にもある落ちがポストクレジットシーンとして付いていることを、居合わせた客のほぼ全員が知って待っていたという。
先週まで原作にはほとんど触れていなかったが、課題作決定後に単行本8巻を通読し、テレビアニメ版も150話ほどまで視聴して臨んだ。ミステリーもホラーもアクションも音楽劇もコメディーも入った初の長編エピソードが、単行本とテレビシリーズの進度と重なる時期に劇場公開された点を挙げ、夏休み興行として「全てが見事にはまっているな」と感心したと語った。
「なんか面白かったです」ちいかわ世界の肝
作品そのものについての評は「僕もなんか面白かったです」。この「なんか」こそが「ちいかわ」の大事な肝だという。
かわいいキャラクターたちは人間型の集団から一方的に労働や武器を与えられ、討伐で報酬を得て暮らす。世界や社会の構造は「労働」といった言葉で極度に抽象化されたまま示される一方、食べ物をはじめとする生理的な感覚だけは現代日本のリアルに直結して描き込まれる。「ここだけ妙に俗っぽいんですよ」。この対比こそが「ちいかわ」世界の最大の特徴だと分析した。
映画版については、原作にない海の俯瞰から始まるオープニング、これまでになく密度の高い背景美術とシンプルなキャラクターとのギャップ、劇場が声を上げて笑ったというドアに挟まるオリジナルギャグを挙げ、原作から大きくずらせない制約下での「職人的仕事」と評価。一方、中盤に時間が巻き戻る構成には「そうもいかないのが今時のファンダム映画なんですかね」と漏らした。
初見の解釈が覆り「あそこで終わっとけば」
最も踏み込んだのは物語の核についてだ。「1番の肝はやっぱり永遠っていう概念の空しさってことだと思うんですね」と切り出し、よかれと思って施した奇跡が人間的なタイムスケールを超えて作動し、止められなくなる怖さを指摘。永遠という名の呪いをかけられた側が、施した相手にも自分と同じ立場になるよう求める場面が最もぞっとしたとした。
ただ初見時は原作未読で、劇中の言葉を物理的な監禁ではなく永遠の契約そのものを指すと解釈して深く感動していたと告白。実際の落ちを知って評価は「カクン」と下がったといい、「あそこで終わっとけば俺的にはもう最高だったんだけどな」と本音をこぼした。原作にある落ちで、自身の早合点によるものだとして「誰も悪くない」とも述べている。
次回の課題作は、ガチャの結果『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』に決まった。