嬉野温泉の観光協会長「フェーズは多分終わってる」 新幹線開業4年
西九州新幹線が開業4年。嬉野温泉は日帰り客が過去最高を更新する一方、定期外の利用客は初の減少。観光協会の北川健太会長は「フェーズは多分終わってる」と語った。
西九州新幹線が2026年9月23日、開業から4年を迎えた。同日公開のYouTubeチャンネル「サガテレビ ニュース」の動画で、佐賀県の嬉野温泉観光協会・北川健太会長が開業効果の現在地を語った。
温泉街で旅館大村屋を営む北川会長は、新幹線ができたことによる追い風について「お客様がどんどん来るっていうこうフェーズは多分終わってる」との見方を示した。そのうえで「滞在体験を作れるかっていうところが大切な時期に入ったのかなと思います」と続けた。
観光客は増加、日帰り客は過去最高
嬉野市では4年前の9月23日、開業にあわせて嬉野温泉駅ができた。91年ぶりに誕生した鉄道駅で、地元の悲願だった。
嬉野市によると、開業後、観光客数は年々増えている。宿泊客は昨年、コロナ禍前のピークの水準まで戻り、日帰り客は過去最高を更新し続けている。11年ぶりの5連休となった今年のシルバーウイークも、温泉街は初日から家族連れや女性客でにぎわった。
福岡県から訪れた女性は、「かもめ」に子どもを乗せたくて嬉野を選んだと明かし、「駅がすごい綺麗で賑わってました」と話した。天ぷら店「天ぷらふく田」の福田俊介さんは「お酒を楽しみに来れるようになったとか聞くと嬉しいなってやっぱり思いますね」と手応えを口にした。
効果は地価にも出ている。駅が開業した2022年以降、国が毎年公表する地価公示で住宅地と商業地の両方が上がり続けているのは、佐賀県西部では嬉野市だけだ。
定期外の利用客が開業以来初の減少
一方で、数字には変化も表れた。嬉野温泉駅で新幹線に乗る人は、昨年春に朝の便が増えたこともあって順調に増えたが、この数には通勤・通学の定期券利用者も含まれる。嬉野市と武雄市が行う定期券購入の補助事業には、昨年104人が申請した。
西九州新幹線全体の利用客も増えているが、定期券を使う人を除くと、昨年は開業以来初めて減った。観光客はこの層に含まれる。
国と佐賀県は今年7月、整備方針が決まっていない新鳥栖―武雄温泉間について、特定のルートを前提としない環境アセスメントの実施などで合意した。ただ、整備方式に合意したわけではなく、実際の整備には別の合意が必要だと明記されている。
嬉野市民に話を聞くと、「生きてる間に新幹線乗れない」「話はしててもなかなか進まないのかなと」と進み方の遅さを嘆いたり、「それでちょっと不便になる方もいらっしゃると思うと」「もうどっちがいいとも言えませんかね」と迷ったりした。
「新幹線がある町」としての使命
北川会長は、目指す姿について「都市部とか有名観光地に憧れるのでなくて、今あるおいしいもの、いいもの、市民が普通に豊かに暮らしてる姿を見せることがすごく大事なのかな」と語った。
視線は嬉野の外にも向く。嬉野に多くの客を呼び込み、さらに周辺の町へつなげていく「使命があると思うんですよね」と述べた。新幹線の開業で在来線の便が減らされた町も実際にあると指摘し、「我々ができることっていうのは、ま、そこでしかないと思ってます」と語った。