撃たない米核に10年140兆円 新型ICBM、発射施設が合わず
YouTubeチャンネル「武器屋のおねえさん」が、米議会予算局が見積もった10年140兆円の米核戦力費用を解説。維持費、装備の一斉更新、新型ICBMセンチネルの費用81%増の理由とは。
兵器解説のYouTubeチャンネル「武器屋のおねえさん」が9月30日に動画を公開し、店主のフランと勇者のゆうちゃんがアメリカの核戦力にかかる費用を解説した。米議会予算局が見積もった2025〜2034年の10年間の費用は140兆円(1ドル=150円換算)。年平均の約14兆円は、日本の2026年度の防衛関係費約9兆円の約1.5倍にあたる。
撃たない核に多額の費用がかかると聞いて「撃たないのに金がかかるのか?」と返し、年14兆円という見積もりには「かかりすぎだろ!」と突っ込んだ。
54兆円は撃てる状態の維持費
140兆円のうち約54兆円は運用・維持費だ。陸のミサイル、海の潜水艦、空の爆撃機という3本柱を、1日も途切れさせずに撃てる状態に保つためにかかる。
地上配備のミニットマンⅢでは、地下の発射管制室で2人1組の将校が交代で24時間待機している。核弾頭を抜いたミサイルを、カリフォルニアから太平洋のマーシャル諸島に向けて撃つ試験も続けている。「撃たないのに撃てる準備をするだけで54兆もかかるのかよ!」と叫んだ。
約46兆円は装備の買い替え費だ。陸はミニットマンⅢからセンチネルへ、海はオハイオ級からコロンビア級へ切り替わる。空ではB-21レイダーの配備が進む。10年前の見積もりは年約350億ドル(約5兆円)で、現在の年約950億ドルはその約2.7倍にあたる。
センチネルは発射施設が合わず81%増
地上ミサイルの後継となる新型ICBMセンチネルは、2020年時点で計画全体が777億ドル(約12兆円)と見積もられていた。2024年にミサイルの価格が想定の基準を大きく超えたことがわかり、見直しの結果は約1410億ドル。当初より81%増えた。
主な原因はミサイル本体ではなく発射施設にある。古いミニットマンの発射施設を改修して使う前提だったが、新型を装填しようとすると寸法も電気系統も合わなかった。通信やセキュリティの要件も満たせず、新しいサイロを建設する方針に切り替わった。
ゆうちゃんは「乗らない車のために、車庫を何百台も新設するようなもんだな」とたとえた。これには「それは99.99%、的を射た意見だと思うわ」と応じた。
フロッピーで動いていた現役ミサイル
予算が足りず、1970年代に完成したミニットマンⅢも使い続ける必要が出てきた。2019年までフロッピーディスクで動いていたミサイルで、センチネルの配備が遅れているため2050年ごろまで使い続ける可能性がある。「そんなロストテクノロジーで核ミサイルを動かしてんのかよ!」と驚いた。外部のネットワークにつながっていないため、ハッキングされる心配が少ないという強みもある。
センチネルの更新をめぐっては、古いミニットマンをそのまま使えばよいという案も出ているという。中国西部の砂漠では、300か所以上とみられるミサイルサイロの建設が指摘された。民間の研究者が衛星画像の分析から指摘したものだ。核抑止推進派は、相手が核戦力を増やすなかで自分たちだけ手を引くわけにはいかないと考えている、と解説した。
センチネルの発射施設の予算超過分を含めると、10年で140兆円でも足りないと言われている。これには「金しかかからん!」と嘆いた。