人類学者が「Oh, no.」 600万回再生のAI人類史動画を検証

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WIRED.jpが9月30日に公開した動画で、人類進化を研究する人類学者がAI生成の「人類史」動画を検証。600万回再生の1本が描く「7万年前の認知革命」や農耕の描写を、年代を挙げて否定した。

人類学者が「Oh, no.」 600万回再生のAI人類史動画を検証

人類進化を研究する人類学者が、SNSで拡散するAI生成の「人類史」動画の誤りを一本ずつ指摘した。WIRED.jpが9月30日に公開した動画「AIが広める『嘘の人類学』を学者が検証」で、600万回再生された1本には「Oh, no.」と声を漏らした。

矢じりも体形も誤りと指摘

240万年前のホモ・ハビリスは、棒の先に石の矢じりを付けた道具を持たされていた。人類学者は、そうした取り付けの証拠が出るのはずっと後の時代で、ハビリスがあれほど精巧な矢じりを作っていたわけでもないと指摘した。

重量挙げ選手のようにずんぐり描かれたホモ・エレクトスについては、東アフリカで見つかる個体などは背が高く細身の場合があると正した。

最も正確だと認めたのは、水をくむ初期ホモ・サピエンスの姿だった。濃い肌の色をした、私たちと変わらない見た目の人物で、人類は歴史の大半をその肌の色で過ごしてきたと説明した。

「7万年前の認知革命」を否定

人類学者が最も強く退けたのは、7万年前に「認知革命」が起きたとする場面だ。洞窟壁画はそれより古く、骨への彫刻はさらに10万年さかのぼり、ビーズは12万8000年前にあったと年代を挙げた。

7万年前に突然賢くなって芸術を始めたという筋書きを「simply not true」と切り捨てた。祖先は何十万年も工夫を重ね、創造的であり続けたと述べ、「And to take that away from them is to take away the story of who we are.」と続けた。祖先からその歩みを奪えば、私たちが何者かという物語を奪うことになるという訴えだ。

1万2000年前の農耕の描写にも異を唱えた。各地の多くの共同体が植物の栽培を始めたことは認めつつ、農耕に移らなかった共同体も数多いと指摘した。人類が一斉に移行したという描き方は、農耕をしない人々を「原始的」に見せてしまうと批判した。

6万年前の舟に産業用ロープ

6万年前のアフリカを描いた別の動画には、さらに辛辣だった。丸木舟で紅海を渡る人物を見て「This is not a 60,000-year-old human.」と断じ、舟のロープは産業用の船舶ロープのようで、丸太は精密に製材されていると指摘した。

一行と並んで歩くオオカミも退けた。人間とオオカミが連れ立つようになったのはここ3万〜4万年のことで、6万年前に一緒に歩いてはいなかったという。

人類学者が繰り返したのは、優れた考古学の成果がすでにあるという点だ。粗悪なAI生成物を指す「slop」という語を使い、こう問いかけた。「Why make up all this slop when you actually have good archaeology?」

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